ここで紹介する工程とは、製品の設計が完了した後の一連の作業(主工程)をさします。
細かく分けると50工程以上にもなります。
工程を大きく分けると、材料の準備、外形の加工、内径の加工、音作りとなります。
個々の工程についての説明は、以下のとおりです。


  1   材料を入手する

  2   製材、木取り
  3   ろう漬け(木口)---パラフィン
 

4
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6

  自然乾燥---2 年以上
人工乾燥
自然乾燥---加工しながら行う
  7   円柱に削る---その都度乾燥させながら4 〜5 回に分けて
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  円柱に穴をあける---その都度乾燥させながら
4〜5 回に分けて
磨き(表面)---数種類のサンドペーパー
樹脂オイル)含浸---真空釜で1時間空気を抜き、液に浸す
自然乾燥---1 ヵ月以上
外形最終仕上げ
内径を削る---2 〜3 回に分けて
   
   
   
   
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  下磨き---細かいサンドペーパーとスチールウール
下塗り---乾燥1 ヵ月以上
磨き---スチールウール
磨き---綿布
   
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  上塗り---1 〜2 回
乾燥---1 ヵ月以上
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  内径を大きくする---最終内径の寸法に近づける
内部塗装
ジョイント部下穴削り〈頭・足部管〉
   
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  指穴あけ〈中・足部管〉---バリ取り、機種によっては
キーのねじ穴あけ
内径リーマー削り
内径磨き---中をスチールウールで磨く
コルク巻き〈中部管〉---接着
最終ジョイント部削り〈頭・足部管〉---リーマーで
コルク削り〈中部管〉---ジョイントに合わせて削る
ブロック用内径あけ〈頭部管〉
目印の穴あけ〈頭部管〉---ウインドウェイを作るため
ウインドウェイを削る〈頭部管〉
ブロック削り〈ブロック〉
ブロック圧縮〈ブロック〉
ブロックはめ〈頭部管〉
   
   
   
   
   
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  吹き口成形〈頭部管〉
エッジ成形〈頭部管〉
リング取り付け〈頭・足部管〉
キー付用ポスト穴あけ〈足部管〉
リーマーかけ〈足部管〉
内穴磨き---スチールウール
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42
  キー取り付け、調整〈中・足部管〉---息漏れ点検
色合わせ
   
  43   はめ合わせ---ジョイント調整(コルクまたは糸巻き)
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50
  ヴォイシング---音を作り、音色を整える
音程調整---主に指穴削りによる調整
吹き口磨き〈頭部管〉---サンドペーパー
検品
吹き口の仕上げ〈頭部管〉
バリ取り
再びヴォイシング



タケヤマリコーダーでは、本体の材料として、カエデ、ツゲ、ローズウッド、黒檀、グレナディラ、サクラを主に使っています。この他に数種で試作中です。ブロックの材料は杉(フロリダシダー)です。
補助材としては、コルク、絹糸、人工象牙、グリスを使用します。
この他に付属品(キー等)があります。

リコーダーに用いる木は、良い音をつくるために、堅くて木の密度が濃く、ふし等の無い加工しやすい材料が好まれます。例えば、同じ材料の木切れ同士をたたいてみて、カーンと良く響く音のするものがリコーダーの材料として「良い木」の候補になります。

よく使われるのはカエデです。これはカナダやヨーロッパのものが有名ですが、国産の「イタヤカエデ」というカエデの中でも堅い品種を使用しています。加工しやすい材料の1つで、大きな材が入手できるので、バスやテナーにも使用しています。リコーダーのほかにヴァイオリンやハープなど様々な楽器に使われています。これでリコーダーを作ると一般に柔らかな澄んだ音色がします。
次にサクラです。これも国産で、比較的大きな材が入手できます。材質はかなり堅く、刃物に対する負荷が大きい材料です。加工している間、とても甘い香りがして、音色も甘くよく響いてくれる頼もしい材料です。切りくずは、燻製のための燃料として重宝しています。
ツゲの木は最も演奏者に好まれる材料です。私も大好きです。トルコ産、フランス産、イギリス産、国産のものを使用しています。堅くて加工しやすく素晴らしい材料ですが、残念ながら最近は世界的に手に入れることが難しくなってきています。
ローズウッドは南米産の材料で、堅くて重い木です。マリンバにも好んで使用され、叩くととても大きい音がします。リコーダーになっても強く芯のある音がします。町会の夜廻りに使う拍子木をこれで作りました。
黒檀グレナディラはインドネシアやアフリカ産の材料で、比重が1.1〜1.4と非常に重く、弦楽器の指板やクラリネットの材料として使われています。力強い音色が演奏者に根強い人気があるのですが、堅く緻密な材料で、乾燥や加工時に割れやすく、扱いが難しい材料です。
ブロックに使用する材料は杉の一品種で、アメリカで採れた材料です。ブロックはよく濡れるので水分に対しても強く変形しにくい材料が使用されます。生木は独特の匂いがしますが、この匂いは虫が嫌がるらしく、我が家では箪笥の中に放り込んで虫除け(防虫剤)の代わりに使っています。